シャツを選ぶ

良質のシャツは、外見的なデザインについてもさることながら、その独立したパーツのなかに、機能性や快適性への追究が随所に見られます。

本来スーツの下に着るアンダーウエアとして使用されてきたシャツは、体にぴったり合うように設計されています。こうすると、運動の量をほかのパートで補う必要が生じ、最も動きの出る首から肩にかけてのショルダーヨークの位置を、やや高めに変えたり、体に沿うような微妙なカーブをハンド・ソーイングで調整しながら縫い合わせたり、また、アームホール部分には立体的な裁断と袖付けで対処したりと、微妙なアレンジを加えたりします。 補強のためのステッチは、袖口の開け閉めにより負担のかかる剣ボロや、ネクタイを締めるためにプレッシャーのかかる衿にも施されています。 見えない部分に独創が加えられ、際立った外観を獲得したシャツは、着てみると快適なフィット感を得られます。 要は、ジャケットと、自分の体との間に用意された空間で、いかに快適なパフォーマンスを見せてくれるか、それが重要なのです。

生地を選ぶ
肌に直接触れるアイテムゆえ、素材選びは重要になってきます。 素材といえば、やはり肌触りや機能面から、コットン(綿)に勝るものはありませんが、この同じコットン素材でも、織り組織や、またその同じ織り組織でも、糸の太さ(番手)によって、かなりイメージが違ってくると言えるでしょう。 一般的にカジュアルは60〜80番手、ドレスシャツなら、100番手が主流でそれ以上の120〜140番手(番手の数値が大きくなるほど糸が細くなり、目がつまり光沢感を持つようになる)などという細番手も最近では珍しくありません。さらには、200番手などというものまで登場しその肌触りはまさにシルクを超えたコットンといわれるほどです。

オックスフォードは、斜子織りにした比較的目の粗い生地で、織り目がはっきりしているのが特徴です。表面に独特の表情があり、ボタンダウン・シャツの代表的素材として知られ、ソフトで通気性がありしかも丈夫なため、スポーティーな装いにピッタリです。 トラディショナルなジャケットに最も合うシャツ地で、基本は、白をはじめ青、黄、ピンク、緑、グレーなど淡い色が中心となリます。 この生地は、番手によってかなり表情が変わり、高番手のロイヤル・オックスフォードになると、ディレクタークラスのダブルジャケットなどに合いそうな雰囲気を醸し出します。この生地の由来はユニークで、19世紀末にスコットランドのある紡績会社が、4つの大学の名前をつけて売り出し、このオックスフォードだけが現在まで残ったのだということです。
ドビーとは、紋繊機の一種、ドビー繊機で作られた繊維のことです。最近ではスーツやタイの素材がより立体的になってきたこともあり、当然シャツにもそれらに負けない素材感が要求されています。織り地の組織や織り紋にはいろいろと変化が多く、柄ゆきが雑多なため、フランス綾、蜂巣織り、ピケなど、特定の名前で呼ぶことのできないような織物の総称となっています。メッシュやガーゼを思わせる肌触りの優しい、清潔感、清涼感ある生地を想像していただければおわかりでしょう。差別化しにくい白シャツの中にあって"粋"な演出をするには最適の生地といえます。
ブロードは、もっとも細密な織り目の生地で、表面が滑らかな、ドレスシャツ地を代表する存在です。糸の太さにかなり幅があり、高番手になるほど柔らかな手触りになります。60番手のものが一般的で、80〜120番手になるとかなり上質な感じがあり、それ以上はほとんどシルクに近い、純然たるお洒落用。白のシャツなら最もエレガントに着こなしたいものです。
ブロードとオックスフォードの中間にあたるのが、シャンブレーです。縦にネイビーや、赤、緑などの色糸、横に白糸を用いて平織りにした薄手の綿織物で、艶がかった淡い玉虫調のパステルカラーが特徴です。とくに青と白の組み合わせが一般的で、シャンブレー・ブルーなどと呼ばれ、ワークシャツのような趣があります。これはスポーティーなスタイルによく似合います。


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